相続が発生したらどうするか
1.相続が発生したらどうするか
相続とは被相続人に帰属していた財産上の権利や義務を配偶者や子供などの相続人が包括して承継することをいいます。
相続人は被相続人(故人)のあらゆる権利や義務を引き継ぐことになりますが、そのうち被相続人だけに許された運転免許証やパスポートなどの一身専属的な権利は相続しません。一方で相続を契機として相続人が受け取ることのできる権利も発生しますし、そのほかにも引き継ぎが必要な権利もあります。
相続人は相続開始にともない以下のようなやめる手続き、もらう手続き、引き継ぐ手続きをとらなければなりません。
- やめる手続き
死亡届、クレジットカード、JAF・デパート・フィットネスクラブなどの各種会員証、身分証明書、パソコン・インターネット会員、運転免許証、貸し金庫、パスポート、リース・レンタル契約、キャッシュカード、借金など
*気をつけたいのは保証人としての地位です。
被相続人が誰かの保証人になっていたとしたら、その地位(保証債務)は相続人が法定相続分で相続してしまいます。もし主たる債務者が返済できなくなったら相続人が代りに返済しなければなりません。
目ぼしい財産が無いなら念のため相続放棄をしてください。 - もらう手続き
社会保険の各種給付金(埋葬料、葬祭費、葬祭料)各種年金(遺族基礎年金、遺族厚生年金、遺族補償年金、寡婦年金、死亡一時金)及び各種年金給付金の未支給分、生命保険金、入院保険金、簡易保険、医療費控除の還付請求、生命保険付住宅ローン、高額医療費の請求など
*社会保険の各種給付金や年金は自ら請求しないと貰えません。死亡時の状況、年齢、家族構成などにより給付額は異なりますが、社会保険事務所や市区町村の担当窓口でなにか貰えるものがないか尋ねてください。もしくは社会保険労務士まで。 - 引き継ぐ手続き
自動車、自動車保険(自賠責・任意)自動車納税義務者、火災保険の名義変更、公共料金、NHKの名義変更、銀行引き落とし口座、借地権・借家・賃貸住宅の名義変更、電話、貸付金、株券、農協・信金への出資金、保証金、各種免許の届出、預貯金の口座、ゴルフ会員権など
*このほかにも土地、建物、株式、預貯金なども引継ぎ手続きをしなければなりませんが、これら財産上の権利を確定するためには相続人全員で遺産分割協議をする必要があります。遺言で財産の受取人が指定されている場合を除き、遺産分割を経由しない限り相続人固有の財産とすることはできません。
2.留意点
- 高額療養費制度は活用したい
入院後に亡くなった場合、健康保険には医療費の自己負担額が一定額を超えた分について取り戻しができる制度があります。但し黙っていては何も貰えないので相続人が請求しなければなりません。
- 遺族厚生年金の手続き
年金受給者が亡くなった場合一定の条件を満たせば配偶者等は遺族厚生年金を貰うことができます。
夫を亡くした妻の場合、概ね亡くなった方の3/4相当額貰えますからその後の生活の基礎財産となります。戸籍上は配偶者になっていなくとも年金は貰える可能性もあります。未支給年金があればその請求もしてください。
3.必要書類
相続手続きには以下のような書類が必要になります。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・死亡診断書
- 被相続人の住民票除票
- 相続人の戸籍謄本・住民票・印鑑証明書
- 土地建物の登記事項証明書
- 固定資産評価証明書・名寄帳
- 住宅地図・公図・測量図
- 権利証
- 遺産分割協議書・遺言書
- 預金通帳・証書・キャッシュカード
- 預貯金の残高証明書
- 生命保険の証書
- 葬儀関係の領収書・医療費の領収書
- 賃貸物件の契約書・管理費用明細
- 被相続人の確定申告書の控え
- 年金の源泉徴収票
- 損害保険の証書